日本維新の会と公明党。この2つの中規模政党は、一方は自民党と連立を組む与党として、もう一方は与党を保管する野党勢力として、政治に大きな影響を与えています。
一見、全く異なる政治団体に見えますが、こと経済政策に関しては非常に似通っています。以下、この2つの政党の経済政策を見ていきたいと思います。
緊縮財政派が多い日本維新の会
現職が44人出馬する日本維新の会。その顔ともいえる馬場代表は、次のような質疑を行っていました。
政府が安易に国債を発行することによって、次の世代に借金を背負わせる、そういったイメージを持たれるのではないでしょうか。このイメージを払拭するためには、総理の財政再建のための政治姿勢が明確にならないと許されるものではないと私は思います。
第190回国会 衆議院 予算委員会 第17号 平成28年2月29日
馬場代表は、国債の発行が安易に行われている、と主張しています。本サイトでは、こうした現職の議員を緊縮財政派として掲載しています。
維新の緊縮派を集計すると、全部で30人います。例えば、藤田幹事長は次のような質疑を行っていました。
コロナ対策で各国が財政出動をやっていますよね、かなりの量を。…コロナが少し収まってきた後に、インフレという危険というか、インフレの方に振れるという予測もありますけれども、この辺り、どう見ておられますか?…非常に難しいかじ取りだなというふうに思いました。
第204回国会 衆議院 予算委員会公聴会 第1号 令和3年2月24日
藤田議員は、財政出動をやればインフレになるので、財政出動をするべきではない、と発言しています。
他にも著名な議員が緊縮財政を訴えています。選挙直前に維新に合流した前原議員です。
今おっしゃったディシプリン(財政規律)というものを失わせることになっている。今度出される補正予算でも、29兆円のうち22兆円は赤字国債ですよ。…これだけ国債を発行すれば金利上昇リスクというのはすごい大きなものがありますよ。
第210回国会 衆議院 財務金融委員会 第3号 令和4年11月18日
前原議員は、国債を増発すると、金利が上がって財政が破綻する、と考えています。このように維新の議員は、国債の発行額が増えることを嫌います。
こうした考え方は、消費税の政策にも影を落としています。例えば、神奈川10区から出馬する金村議員は、次のような質疑を行っていました。
政府の全世代型社会保障構築会議が、17日、議論の中間整理をまとめました。総理肝煎りの勤労者皆保険の実現も盛り込まれましたが、制度設計や財源案は示されておらず、最大の課題である現役世代の負担軽減策さえ素通りされました。もはや、びほう策で社会保障制度を維持することは限界です。
…私たちは、企業に社会保険の負担をあまねく委ねる勤労者皆保険には懐疑的な立場ですが、総理はいつまでに実現させるのですか。現行の社会保障制度では、この先、消費増税の検討は避けられないと考えます。
第208回国会 衆議院 本会議 第29号 令和4年5月25日
金村議員は、社会保障制度を維持するためには、消費税を上げなげれならない、と主張しています。
維新の議員は、国債の増発を頑なに認めようとしません。その結果、税収頼みの財政政策となり、減税ができなくなるばかりか、増税を主張することさえあるのです。
以上、維新の経済政策をまとめると、次のようになります。
- 国債の増発を認めようとしない
- 税収頼みの財政運営となる
- 消費減税を力強く主張することができない
このような議員が30人もいます。そのため維新は、どの選挙ブロックにおいても、投票対象から外す筆頭候補です。
消費税を下げない公明党
次に公明党を見ていきます。公明党は現職が32人出馬します。その代表である石井議員は、次のような質疑を行っていました。
それだけ今、国債のストック(発行残高)が大きくなっていますから、やはり金利が上がる場合の影響が非常に大きい。…やはり国債市場の信認をきちんと確保しておくということは非常に重要である。裏返して言うと、国債の信認を損なうような財政運営をすると、途端に歳出の国債費が激増していくことになりかねない。
第174回国会 衆議院 財務金融委員会 第8号 平成22年3月16日
石井議員は、国債の発行額が増えているので、金利が上がって財政が破綻する、と考えています。
公明党は、緊縮派を集計すると、全部で16人います。彼らは財政出動にも消費税の減税にも反対しています。例えば、大阪6区から出馬する伊佐議員は、次のような質疑を行っていました。
少なくとも前回(消費税を8%に増税した時)ほどの影響はないということでございました。私もいろいろ現場を回っていますと、例えばコンビニなんというのは全然変わらないというふうに伺います。商店街の飲食店とかに行くと、若干ちょっと影響はあるかもしれないけれども、まあ大した問題じゃないですというようなのがほとんどでございました。
第200回国会 衆議院 財務金融委員会 第2号 令和元年11月5日
伊佐議員は、10%への消費増税は、国民経済に大した影響を及ぼしていない、と主張しています。
また、北関東ブロック比例の輿水議員は、次のような質疑を行っていました。
私たちは、日本が世界に誇る社会保障の充実、安定化と財政健全化の同時達成を目指し、社会保障と税の一体改革を進めてまいりました。
しかし、今回、世界経済が直面するリスクを関係諸国が一体となって回避するために、医療や介護などを支える消費税率の10%への引き上げが平成31年10月まで再延期されることとなりました。
第192回国会 衆議院 本会議 第5号 平成28年10月18日
輿水議員は、消費税収は社会保障の財源である、と考えています。公明党の議員は、消費税収を安定財源として捉える議員が多く、消費税減税の抵抗勢力となっています。
以上、公明党の政策をまとめると、以下のようになります。
- 国債の発行を認めようとしない
- 消費税収を安定財源と見なしている
- 消費税を絶対に下げようとしない
このような議員が15人もいます。公明党は、どの選挙ブロックにおいても、投票対象から外す筆頭候補となります。
維新と公明党は投票対象から外す
以上、維新と公明党は、投票してはいけない、踏んではいけない地雷のような政党です。その代わりとなるのが、消費税の減税と積極財政、この2つを政策として掲げている政党です。以下の記事で、国民民主党、れいわ新選組、共産党、参政党、この4党の政策を比較しています。
詳細は割愛しますが、記事の結論部分だけを、以下抜粋しておきます。
- 国民民主党の議席が増えれば、緊縮財政派が増える可能性がある
- れいわ新選組の議席が増えれば、消費税の減税派と積極財政派が増える可能性が高い
- 共産党の議席が増えれば、消費税の減税派が増える可能性は高いが、積極財政派が増える可能性は低い
- 参政党の議席が増えれば、消費税の減税派と積極財政派が増える可能性がある