国民民主党とれいわ新選組、そして共産党。これらの小規模政党は、小選挙区で勝ち上がる議員がほとんどいません。比例、すなわち、2枚名の投票用紙「政党名」で票を集めています。
「比例では、これら3党のいずれかに票を投じよう」
そう考え、各党が発信している公約や経済政策、あるいは2次情報をチェックしている人もいるかもしれません。
しかし、それだけでは分からないこともあります。そこで、この記事では、国民民主党とれいわ新選組、共産党の経済政策をチェックし、併せて参政党もチェックしたいと思います。
各政党に所属する議員の経済政策に対する考え方
選挙前の3党の議席数は、以下の通りでした。
- 国民民主党 7議席
- れいわ新選組 3議席
- 共産党 10議席
当サイトでは、衆議院の現職が行っていた質疑、具体的には、国会の予算委員会や各省庁の委員会の議事録を参照し、その経済政策に対する考え方を1人ずつ分類しています。2024年10月21日付で現職283人(+非現職27人)の分類が完了しています。
そのうち上記3つの政党に関しては、おおよそ分類が完了しています。
以下、各政党に所属する議員の経済政策に対する考え方を見ていきます。
実は緊縮財政派が多い国民民主党
国民民主党は、公示前7議席のうち、以下5議席の分類が完了しています。
香川2区 玉木雄一郎:消費税の減税と財政出動に賛成
埼玉14区 鈴木義弘:財政出動に反対
愛知2区 古川元久:消費税の減税と財政出動に反対
長崎1区 西岡秀子:「消費税の減税」と「財政出動」に反対
宮崎2区 長友慎二:「財政出動」に反対
国民民主党といえば、玉木代表です。玉木代表は知名度が高く、発信力もあります。消費税の減税と積極財政を訴えている有力な議員で、反緊縮の界隈からも人気があります。
しかし、他の議員は、玉木代表とは真逆のことを言っています。例えば、鈴木議員は、次のような質疑を行っていました。
日本の国会議員の1人で国債は大丈夫かって不思議に思うかもしれませんけれども、私は、1000兆円以上の国債を発行している中で、いつ暴落してもおかしくないんじゃないかというふうに思う一人なんですね。
第211回国会 衆議院 経済産業委員会 第18号 令和5年5月31日(鈴木義弘の質疑)
このように鈴木議員は、国債が暴落する、と考えています。他にも西岡議員は、次のような質疑を行っていました。
(安倍)総理はこれまで消費税増税を2度先送りされております。今回、総理からもまだ正式な表明はないというふうに私自身は理解をいたしております。
…総理、(消費税の)増税を国民の皆様にお願いするには、確固たる信念と覚悟、御批判を受けてもなお、今の日本にとって必要であるという強い決意と覚悟が必要だと考えております。
第198回国会 衆議院 予算委員会 第14号 平成31年2月28日(西岡秀子の質疑)
このように西岡議員は、消費税の増税は必要である、と考えています。
実は国民民主党は、緊縮財政派が多く、消費税の増税論者さえいます。玉木代表と比べると、その落差が激しいのです。
玉木代表とそれ以外の党員、なぜこれほどまでに考え方が違うのか?
その理由は分かりませんが、確実に言えることは、玉木代表が党員に対して十分な手綱を握れていないという事実です。そして国民民主党の議席が増えれば、積極財政派の議員が増える可能性よりも、緊縮財政派の議員が増える可能性の方が高いかもしれません。
消費減税と積極財政を訴えるれいわ新選組
次に、れいわ新選組を見ていきます。れいわ新選組は、公示前3議席全ての分類が完了しています。
東京14区 くしぶち万里:消費税の減税と財政出動に賛成
大阪5区 大石あきこ・消費税の減税と財政出動に賛成
千葉11区 多ヶ谷亮:消費税の減税と財政出動に賛成
上記3議員は全員、消費税の減税と財政出動を訴えています。例えば、大石議員は、次のような質疑を行っていました。
物価が上がっているときに消費税を下げないなんて、めちゃくちゃなんですよ。消費税は減税すると、総理に、政府に言ってほしいんです。総理、お聞きいたします。なぜ消費税減税という話にならないんでしょうか。
第208回国会 衆議院 予算委員会 第20号 令和4年5月27日(大石あきこの質疑)
消費税の減税を政府に強く求めるのは、大石議員に限らず、櫛淵議員も多ヶ谷議員も同様です。もちろん財政拡大も訴えています。
れいわ新選組の議席が増えれば、消費減税派と積極財政派の議員が増える可能性は高いと思われます。
消費税の減税を強く主張する共産党だが…
次に、共産党を見ていきます。共産党は、公示前10議席のうち、7議席の分類が完了しています。
南関東比例 志位和夫:消費税の減税に賛成
大阪5区 宮本岳志:消費税の減税に賛成投票
九州比例 田村貴昭:消費税の減税に賛成投票
東京20区 宮本徹:消費税の減税に賛成
東北比例 高橋千鶴子:消費税の減税に賛成
北関東比例 塩川鉄也:消費税の減税に賛成
東海比例 本村信子:消費税の減税に賛成
共産党といえば、筋金入りの消費税の減税論者です。そもそも消費税の減税を訴えている衆議院の現職は、せいぜい25人もいません。その中でも上記の7人は、隙あらば、消費税の減税を内閣に要求しています。消費税を減税して欲しい有権者からすると、共産党は頼もしい存在です。
しかし、共産党には見過ごせない欠点があります。例えば、宮本議員は、次のような質疑を行っていました。
日銀が国債購入額を段階的に縮小し、保有額自体を減らしていくということになれば、当然国債の金利は上昇していくというふうに思います。そうすると、今の国の予算の中で、今でも大変な状況ですけれども、国債費は金利上昇を受けてさらに増加していかざるを得なくなるということが見込まれるわけですね。
第196回国会 衆議院 議院運営委員会 第10号 平成30年3月5日(宮本徹の質疑)
宮本議員は、国債の金利が上がって財政を圧迫する、と考えています。他にも本村議員は、次のような質疑を行っていました。
国の借金というのは1053兆円にも膨れ上がっているわけでございます。この財政の健全化というのは、本当に緊急の課題だ、私たちがしっかりと考えていかなければならない問題だというふうに思います。
この借金を一体どうやって減らしていくのかということについて、ちゃんと知恵を絞っていかなければいけない。
第189回国会 衆議院 国土交通委員会 第8号 平成27年5月13日
本村議員は、政府債務を減らさなければならない、と考えています。
共産党の中で、国債を発行して財政拡大をするべきだ、と主張する議員は1人もいません。彼らは消費税を減税して穴が開いた財源を、法人税の増税によって賄うと主張しています。
しかし、共産党の議席が増えれば、消費減税派の議員が増えることは間違いありません。さらに、自由貿易や民営化、雇用の流動化などの規制緩和に対しても、断固反対の立場を取るところも心強いです。
1人しかいない参政党
最後に、参政党を見ていきます。参政党は元々、衆議院では議席を持っていませんでした。ところが、選挙直前に無所属だった鈴木議員が、参政党に合流したため、1議席を得ることになりました。
鈴木議員は、次のような質疑を行っていました。
さらには、日本経済がデフレ的な状態であるにもかかわらず、政府が緊縮財政を続け、需要不足を放置してきた結果、企業は設備投資をためらい、技術開発の基盤が失われたことで、国家そのものの競争力が失われた歴史でもありました。
第211回国会 衆議院 本会議 第17号 令和5年4月7日
鈴木議員は、政府が緊縮財政をしていた、と考えています。他にも非現職の安藤議員が京都6区から出馬します。
京都6区 非現職の参政党「安藤裕」消費税の減税と財政出動に賛成
安藤議員は、消費税の減税と積極財政を訴える最も有力な議員の1人です。そのため、参政党が消費税の減税と積極財政を政策として推進していく可能性は高いと思われます。
しかし、現有議席がない参政党こそ、公約を見た方がいいと思います。以下、そのリンクを張ります。
まとめ
以下、この記事をまとめます。
- 国民民主党の議席が増えれば、緊縮財政派が増える可能性がある
- れいわ新選組の議席が増えれば、消費税の減税派と積極財政派が増える可能性が高い
- 共産党の議席が増えれば、消費税の減税派が増える可能性は高いが、積極財政派が増える可能性は低い
- 参政党の議席が増えれば、消費税の減税派と積極財政派が増える可能性がある