債務 対GDP比とは?
上のグラフは、債務対GDP比の推移を示したもの。1995年の当時、日本の債務対GDP比は、他の先進国と同じような水準にあった。その後、値が上昇していき、2022年には257%と他の先進国から懸け離れるようになった。
分数:債務対GDP比
債務対GDP比は、分子の一般政府総債務を、分母の名目GDPで割ったもの。この分子と分母の伸び率をそれぞれ観察していくと、日本の債務対GDP比が上昇した理由が判明する。
分子:一般政府総債務
1995年の一般政府総債務=1とすると、2022年の時点ではイギリスが6.8倍、フランスが4.3倍、カナダが3.6倍、日本が3.0倍。日本の伸び率は、他の先進国と比べても突出して高いという訳ではなく、むしろ低い方に属している。
分母:名目GDP
1995年の名目GDP=1とすると、2022年の時点ではアメリカとカナダが3.4倍、イギリスが2.9倍、フランスが2.2倍、ドイツが2.0倍、日本が1.07倍。日本のGDP成長率は先進国のなかでも突出して低い。
債務対GDPが増加している理由:GDPが全く成長していないため
日本が他の先進国と比較して突出しているのは、分子の一般政府総債務の増加率ではなく、分母の名目GDP成長率の低さである。債務対GDP比を先進国の水準に近づけるには、GDPの成長が不可欠ということになる。
補足データ:カナダの債務対GDP比
1995年の当時、カナダの債務対GDP比は、日本を上回っていた。そこから2022年にかけてカナダの政府債務の増加率3.6倍も、日本の3.0倍を上回っていた。にも関わらず2022年現在、カナダの債務対GDP比は110%以下に収まっている。
このように日本の債務対GDP比が他の先進国と懸け離れるようになった原因は、政府債務の増加率ではなく、GDP成長率の低さだということが分かる。
それは恐らく賢明なことではあるが、どちらか一方が拡大しなければならない以上、負債と貨幣が一緒に一定のバランスで拡大することを容認している。
『機能的財政と連邦債』アバ・ラーナー