日本の一般政府総債務

一般政府総債務とは、中央政府と地方政府、社会保障基金が負っている債務の合計。上のグラフは、1997年の一般政府総債務=1とした場合、その伸び率を表している。2021年の一般政府総債務は、1997年の2.45倍だった。
アジア・オセアニア 8ヵ国の政府総債務

アジアの一般政府総債務を見てみると、97年=1とした場合、中国が2021年の時点で50倍以上。先進国のオーストラリアが8倍、ニュージーランドが5倍となっており、特に2020年のコロナ禍を境に、各国の政府債務は大幅に増加した。日本の2.45倍という増え方は、アジアの中で最も低い水準だった。
アメリカ大陸 4ヵ国の政府総債務

※アメリカは2001年以降のデータしか無いため、アメリカだけ2001年を1としている
アメリカとカナダは、2020年のコロナ禍を境に積極財政へと舵を切り、両国の政府債務は急激に増加していった。カナダの政府債務は、97年=1とした場合、2021年で3.3倍。アメリカの政府債務は、2001年=1とした場合、2021年で5.2倍。日本の2.45倍という増え方は、アメリカの半分にも満たない。
ヨーロッパ 8ヵ国の政府総債務

欧州先進国の一般政府総債務を見てみると、97年=1とした場合、イギリスが5.9倍、フランスが3.5倍、ドイツが2.1倍。日本の2.45倍という増え方は、欧州の先進国に比べて突出して高いという訳ではなく、むしろ低い方に属している。
日本の『政府債務』が増えていない理由:外国よりも増えていないため

「日本は過剰な政府債務を積み上げている」といったような報道が行われているが、日本の政府債務は、先進国の中でも最低水準の増加率である。この原因は、日本が過度な緊縮財政を行ってきたためであり、そのせいでGDP、家計消費、平均年収、物価が全て世界最低水準の伸び率を記録することになった。
重要なのは国債の金利

上のグラフは、長期債務残高が累積していくにつれて、国債の金利が下がってきたという事実を示している。政府債務を増やしても問題ないかどうかは、債務の規模ではなく、本来は国債の金利で判断する(物価も重要)。
これは、国家債務の絶対的規模が何ら問題にならず、債務の利払額がどれだけ多くても、全体として社会の負担にならない事を意味している。
『機能的財政と連邦債』アバ・ラーナー