日本の一般政府総債務

一般政府総債務とは、中央政府と地方政府、社会保障基金が負っている債務の合計。上のグラフは、1997年の一般政府総債務=1とした時の伸び率を表している。2022年の一般政府総債務は、1997年の2.52倍だった。
アジア・オセアニア 8ヵ国の政府総債務

2022年/97年比でみると、中国が56倍以上、韓国が21.4倍、マレーシアが12.9倍、オーストラリアが8.4倍。日本の2.52倍という増え方は、アジアの中で最も低い水準となっている。
アメリカ大陸 4ヵ国の政府総債務

※アメリカは2001年以降のデータしか無いため、アメリカだけ2001年を1としている
2022年/97年比でみると、カナダが3.5倍。2022年/2001年比※でみると、アメリカが5.5倍。特にアメリカは2020年のコロナ禍以降、積極財政を行ったことで政府債務が増加しているが、GDPも急成長しており、ドル高となっている。
ヨーロッパ 8ヵ国の政府総債務

2022年/97年比でみると、イギリスが6.0倍、スペインが4.5倍、フランスが3.7倍、ドイツとイタリアが2.2倍。日本の2.52倍という増え方は、欧州の先進国と比べても突出して高いという訳ではなく、むしろ低い方に属している。
日本の『政府債務』が増えていない理由:外国よりも増えていないため

※アメリカは2001年以降のデータしか無いため、アメリカだけ2001年を1としている
「日本は過剰な政府債務を積み上げている」といったような報道が行われているが、日本の政府債務は、先進国の中でも最低水準の増加率である。この原因は、日本が過度な緊縮財政を行ってきたためであり、そのせいでGDP、家計消費、平均年収、物価が全て世界最低水準の伸び率を記録することになった。
補足データ:債務対GDP比

※アメリカは2001年以降のデータしか無いため、アメリカだけ2001年を1としている
上のグラフは、各国の債務対GDP比(一般政府総債務÷名目GDP)を比較したものである。これまで見てきたように、日本の一般政府総債務はそれ程伸びていない。にも関わらず、日本の債務対GDP比が先進国と比べて大きくなっているのは、分母の名目GDPが全く成長していないからである。
これは、国家債務の絶対的規模が何ら問題にならず、債務の利払額がどれだけ多くても、全体として社会の負担にならない事を意味している。
『機能的財政と連邦債』アバ・ラーナー