国の借金とは?

TVや新聞のニュースで報道されている『国の借金』とは、長期債務残高のことを指している。2014年に1000兆円を突破し、現在進行形で増加している。こうしたことから、財政破綻を主張する人が多い。
普通国債残高

長期債務残高のうち、普通国債残高の割合は、1990年から2020年にかけて60%から80%に上昇した。そのため、普通国債残高の動向が重要になってくる。
『国債の金利が上がる』という予想

このまま長期債務残高が積み上がると、国債の金利が急騰するかもしれない、と予想されていた。
『国債の金利は下がり続けている』という現実

ところが、その予想は外れ続け、金利は下がる一方だった。この低金利を維持している期間は世界で最も長い。日本は、財政破綻の確率が世界で最も低い国の1つになる(TVや新聞のニュースには注意が必要)。
債務が増えても、金利は下がり続けた

30年以上もの間、「債務が増えれば増えるほど、金利は下がる」という反比例的関係を示してきた。「このまま債務が積み上がれば、金利が上がって財政が破綻する」という理屈を、現実が反証している。
国債の金利が下がった理由:国債が問題なく消化されたため

財務省が国債の購入者を募集すると、低い金利でも購入する人が集まったため、金利は低いまま推移していた。民間の金融機関や個人、さらには海外の投資家が国債を安全な資産と見做していたため、金利は低いままだった。さらに最近では、日銀が貨幣を発行して国債の購入量を増やしている。
[竹下登大蔵大臣の答弁]
なかんずく、財政改革を行って(昭和)65年度には赤字国債から脱却し、そして総体的には公債依存度を下げていくという方向で進むべきであるということが申されておるわけであります。…さて、これをいかなる方法でやっていくかということになりますと、…歳出構造に対して、その施策、制度の根源にさかのぼって徹底的なメスをやっていけ…当面…制度、施策の根源にさかのぼって歳出をカットしていくというところから始めていくべきであるという基本的な考え方に立っております。
第100回国会 衆議院 行政改革に関する特別委員会 第2号 昭和58年9月26日
[中曽根康弘総理大臣の答弁]
行政改革につきましては、臨時行政調査会を設置いたしまして、五次にわたりまして答申をいただきました。政府はその都度、その実行につきまして、いわゆる工程管理表に類すべきものをつくりまして、閣議決定をもちまして公表もし、また、その線に従って進めておるところでございます。まず、財政面から、小さな政府、効率的な政府という要請に従いまして、歳出カットにつきまして全力を注ぎました。これによりまして、予算請求をゼロシーリングあるいはマイナス5%シーリング、あるいは今回はマイナス10%シーリングということを行い、さらに赤字国債発行額を減らしてきたところでございます。
1兆円ずつ毎年減らして努力してまいりました。これが一つ財政面からの努力でありまして、これはやはり臨時行政調査会ができましたから、その大きな力によりまして政府はこれを遂行することができたと感謝しておる次第でございます。
…私が行管長官のときにおきましても第一次のかなりの整理をやり、今回もまた許認可の整理を実行しておる。それと同時に、いわゆる自由化を促進しようというので、データ通信の自由化等についてかなり思い切った措置を講じた点でございます。
…それから、国鉄の改革、電電、いわゆる三公社の問題がございまして、これにつきましては、臨調から方向を指示されておりまして、それで国鉄については監理委員会設置法をつくりまして、監理委員会がいまその法律をつくる準備をいたし、また国鉄の勤勉性といいますか、綱紀の粛正について現に十一項目にわたる監督をやっていただいておるわけであります。
それから、電電、専売につきましては、いま法案をつくる準備を党内でやっております。これは通常国会に提出するべく努力しておるところでございます。 今後年金の問題がございまして、今回公的年金の統合については法案を御審議願っておりますが、これは国鉄等を中心にして焦眉の急を要する問題でありますので、今国会に御提案申し上げ、さらに大きな全面的な年金問題の総合調整という問題は、次の国会にもし間に合えばそれを提出するように懸命の努力をいまやっていただいております。大体以上の路線に従いまして行政改革を進めておるところでございます。
第100回国会 衆議院 行政改革に関する特別委員会 第5号 昭和58年9月29日