以下のグラフは、1990年から2023年までの現金給与総額の推移を示したものである。
現金給与総額は、1997年がピークだった。同年に消費税が上がると、給料は下がり始めた。翌1998年から2009年までは大幅な下落、2010年以降は伸び悩みの状態が続いている。1998年は、本格的な不況に突入した年だったのである。
その中でも特に1998年から2004年までの期間を見てみよう。この間、給料の下落が止まらず、▲4万円近く減少した。給料の大幅な下落に加え、倒産件数と失業率の増加、自殺者数の高止まり、国民は苦しい生活を送っていた。
失われた30年を象徴する、デフレの時代である。
その間、消費者物価指数は、前年比でマイナスを記録し続けていた。消費者物価指数がマイナスになる本当の意味でのデフレは、経済に大ダメージを与えていたのである。「物価が下がれば、生活は楽になる」と考えるのは、早計なのだ。
過去の失敗は、忘れ去られることが多い。経済的に失敗したデフレの時代、その教訓を、いま一度、思い出す必要があるだろう。
※現金給与総額とは、基本給、残業代、賞与を合計した月給のこと。所得税や社会保険料、各種手当が天引きされる前の金額である。名目賃金指数の元となるデータでもあり、最も基本的な賃金データの1つである。