政府は2022年から「物価高を上回る賃上げ」を掲げ、企業に賃上げをお願いしてきた。賃上げは、はたして物価高を上回っていたのだろうか?
それを把握できるのが、実質賃金である。
賃上げが物価高を上回れば、実質賃金は上がる。
物価高に追いつかなければ、実質賃金は下がる。
2022年から2023年にかけて実質賃金は、3.5ポイントの大幅な下落となった。この2年間、賃上げは、物価高に全く追いついていなかった。
つまり、政府の賃上げ要請は、2年連続で結果を出せなかったのである。
2022年と2023年の教訓
結果が出なかった以上、原因は検証されなければならない。
そもそも実質賃金の下落傾向は、1998年から26年以上続いている。これまでの間にデフレとインフレの両方を経験しているが、どちらの時代も賃金は物価に追いついていなかった。
つまり、問題は、物価の上昇というよりも賃金の伸び悩みである。そして、インフレとデフレの両期間に共通していたのは、需要の低迷である。
需要が低迷している状況では、家計は消費を控え、企業は投資をしなくなる。すると、売上が落ちて企業の業績は悪化し、賃金は伸びなくなる。家計と企業は、ますます消費や投資をしなくなっていく。
経済の悪循環だ。
この需要を温める方法が、経済政策である。政府による主な経済政策は減税だが、その中でも1番効果的なのが、消費税の減税である。政府は民間に丸投げするのではなく、自分の手で政策を実行に移していかなければならない。