デフレとは、モノやサービスに対する需要が供給を下回ることで、物価が下がる現象である。
デフレは、需要が冷え込むことから始まる。
まず需要が冷え込むと、モノが売れなくなる。モノが売れなくなると、企業は値下げを余儀なくされ、売上が落ちる。
企業の売上が落ちると、従業員の給料は下がる。最悪の場合、企業は倒産して失業者が生まれる。給料が減った家計は、消費を切り詰め、業績が悪化した企業は、投資を控えるようになる。
その結果、ますます需要は冷え込み、モノが売れなくなる。この経済の悪循環が続いている状態を、デフレ・スパイラルといい、物価が下がり続けるのだ。
つまり、デフレとは、需要不足からくる不景気の状態を表しているのである。
日本のデフレ、先進国のインフレ
日本がデフレになったのは、1998年からである。そこで1997年の物価=1として、物価の伸び率を見てみよう。
日本はデフレの道をたどり、経済が成長しなかった。先進国はインフレ率2%の道をたどり、経済が成長してきた。日本が経済成長できなかった最大の理由は、デフレ、すなわち、需要が供給に対して不足していたからである。
まとめ
最後に、デフレについて要約しよう。
- 需要が供給を下回ると、物価が下がり、デフレになる
- デフレは、需要の冷え込みから始まり、経済の悪循環が起きる
- デフレは、不景気の状態を表している
デフレの最大の問題点は、需要不足である。需要不足は、必ず景気の悪化をもたらす。ただし、需要が低調で景気が悪い時でも、インフレになることがある。このインフレは、需給の要因とは全く別の要因で発生しているのだ※。
※例えば、経済成長している先進国のインフレは、好調な需要に支えられたインフレであり、ディマンド・プル型のインフレと呼ばれている。一方、2022年以降の日本のインフレは、低調な需要にも関わらず、輸入コストの上昇を要因とするインフレであり、コスト・プッシュ型のインフレと呼ばれている。つまり、インフレであっても、需要が好調であるとは限らないのである。