理由:「消費税の減税」を目指すため(㊟:財政拡大には反対)
野党第1党の党首を務めていました。一連の財政に関する議論を振り返ります。
建設国債と赤字国債の区別はもはや時代おくれです
枝野議員は、まず国債について議論しました。国債とは、税収だけでは予算に届かないため、政府が資金調達するために発行する債券をいいます。
①確かに赤字国債で、人材の育成やあるいは将来にわたっての技術を育てていくというようなことで国債が残るのであれば、後世代の者としても、むしろそれは歓迎すべきところ。
しかし逆に、物が残るからといっても、米をつくらない田んぼや人が通らない道路のために建設国債でツケを残されても、後世代の人間としては到底承認できない。そうしたことを考えても、赤字国債と建設国債の区別というものはナンセンスであると考えます。
②それから、最初にもおっしゃっていた建設国債という話は、もう谷垣大臣も御承知のとおり、これまでも何年来にわたって、もう建設国債と一般の赤字国債との区別だなんていうのは時代おくれじゃないかという議論はとっくの昔に決着がついている話で、財務省だけがなぜかこの区別に固執をしているという話で、財政を硬直化して公共事業が減らないということの一つの根拠にしているとしか言えないのではないかと私は思っております。
③保育士や介護従事者の賃金底上げは、最も効果的な経済対策です。その財源は公共事業予算を圧縮して捻出すべきで、建設国債と赤字国債の区別はもはや時代おくれです。
従来型の公共事業と比べて、社会保障関連の人件費支出の方が、消費や雇用など、より大きな経済波及効果につながることは既に明確になっています。…従来型の景気対策だけが経済対策で、社会保障分野は経済とは関係ないという固定観念から抜け出すことを、経済対策の大前提として、立憲民主党は皆さんにお訴えをいたします。
①第141回国会 衆議院 財政構造改革の推進等に関する特別委員会 平成9年11月4日
②第159回国会 衆議院 予算委員会 第8号 平成16年2月12日
③第196回国会 衆議院 本会議 第2号 平成30年1月24日
枝野議員は、国債の種類に関係なく財源には限りがあるため、公共事業を圧縮した分の予算を社会保障の人件費に振り向けるべきだ、と主張しました。
上のグラフは、長期債務残高と国債の金利を示したものです。国債は超低金利の状態にあるため、国債を発行しても何ら支障ありませんでした。
本来の目的にはつながらない
次に、財政出動について議論しました。
①政府は、景気対策と称して公共事業をばらまき、財政赤字を拡大させています。当面の景気対策のために一定の財政出動がやむを得ないとしても、どうしてそれを介護基盤整備などに集中投資しないのでしょうか。
…少子高齢社会を乗り切るために必要不可欠な費用として使われた結果であるならば、その財政赤字の負担を私たちは喜んで引き受けます。しかし、目先の利権と人気取りのために生じた多額の債務がツケ回されるとしたら、到底容認することができません。何よりも、今、参政権を持たない子供たちに対して、余りにも無責任であります。
②あえて申し上げますが、徹底した金融緩和、円安を目的としていたとは言えないにしても、そのことによる円安。財政出動。確かに、かつては正しい経済刺激策だったと私は思います。
…そもそも、こうした手法が通用するこの150年間の状況と、我が国の置かれている状況が、根本的に変化をしているのではないか、そのことが問われているのではないでしょうか。だから、本来効果が上がるはずの金融緩和をとことんアクセルを踏み、財政出動にとことんアクセルを踏んでも、個人消費や実質賃金という、国民生活をよりよくするという経済政策の本来の目的にはつながらないところでとまっているのではないでしょうか。
③大規模な開発型の公共投資や大手企業への誘導策で民間投資を促す。きわめつきは、輸入物価を上昇させ、国内由来の消費にはマイナスとなる事実上の円安誘導で輸出企業を潤す。こうした経済政策は、高度成長期には一定の役割を果たしたかもしれませんが、しかし、現代の消費不況の時代には、効果がないばかりか、むしろマイナスであります。
①第147回国会 衆議院 本会議 第22号 平成12年4月10日
②第196回国会 衆議院 本会議 第45号 平成30年7月20
③第200回国会 衆議院 本会議 第2号 令和元年10月7日
枝野議員は、昔と今とでは経済状況が異なるため、現代の財政出動には効果がない、と主張しました。
上のグラフは、各国の政府支出の伸び方を示したものです。枝野議員のこうした議論によって、日本は世界最低水準の伸び率になりました。
税率5%への時限的な消費税減税を目指します
2021年6月の本会議で、消費税について議論しました。
新政権では、事業支援、生活支援、さらには医療支援について、網羅的、包括的な支援となるよう、パッチワークを抜本的かつ速やかに組み替え、簡易な手続きで迅速に届けられるよう強化します。
ここまで述べてきた持続化給付金の再交付などに加えて、特に、中間層を含めて疲弊している国民生活を支えるために、一つには年収1,000万円程度の方までは実質免除となる大胆な規模で、時限的な所得税減税を断行します。二つ目に、こうした効果が十分に及ばない低所得の皆さんには、消費税5%の負担に相当する額以上を現金給付します。
その上で、三つ目に、COVID-19による売り上げ減少の影響を最も大きく受けている飲食や観光などの事業に最大の効果が及ぶよう、当たり前の日常を取り戻すことのできるタイミングを見据えて、国会と国民の理解を得ながら、税率5%への時限的な消費税減税を目指します。
③第204回国会 衆議院 本会議 令和3年6月15日
枝野議員は、所得税の減税と、消費税5%に相当する現金給付を約束しました。その上で、消費税5%への時限的な減税を確約するのではなく、あくまで目指すだけだ、と主張しました。
上のグラフは、各国における家計消費の伸び方を比較したものです。日本は、世界最低水準の伸び率でした。政府は本来、冷え込んだ消費を回復させるために減税すべき所を、逆に増税し続けました。
議論の内容に基づき「消費税の減税」に賛成する意見を優先して「投票候補㊟」の議員に分類しました。
2021年衆院選の得票率
得票率51.4%で当選しました。
(有効投票数221,147票 投票率56.58%)
当選者と次点 | 得票率 |
---|---|
枝野 幸男 | 51.4% (113,615票) |
牧原 秀樹※(自民、比例当選) | 48.6% (107,532票) |
※衆議院インターネット審議中継及び総務省選挙関連資料 参照
同じ選挙区から出馬した現職 本記事に掲載されている経済のグラフ