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移民123万人受け入れ拡大政策 制度の経緯を辿る

時事ニュース

移民123万人政策の閣議決定

2026衆院選の直前に、政府は123万人の移民受け入れを閣議決定した。

この123万人とは、受け入れ上限人数であり、2つの在留資格、特定技能育成就労を合わせた数字である※1

在留資格受入れ上限
特定技能80万5700人
育成就労42万6200人
合計123万1900人


内訳をみると、特定技能が81万人まで、育成就労が42万人までとされている。

この受け入れ上限人数について、その制度的経緯を辿っていくと、移民政策であることが見えてくる※2


特定技能:受け入れ拡大路線

まず特定技能は、2019年に運用が開始され、最初は受け入れ上限が34万人までとされていた。

ところが、2024年の閣議決定で、その数が82万人に引き上げられた。大幅な受け入れ拡大に踏み切ったのである。

出典:法務省『在留外国人統計』厚労省『分野別運用方針の主要な記載事項①』


そして、2026年1月の閣議決定で出てきたのが、805,700人という数字である。受け入れ上限者数は、依然として高いまま据え置かれている。

一方、特定技能の実際の人数は、直近の2025年で33万6000人。政府は特定技能だけで、さらに50万人近くの受け入れを容認しているということになる。


育成就労:過去最多実績をベース

次に育成就労は、2027年から運用が開始され、受け入れ上限が42万6000人とされている。

これに伴い、前進の制度に相当する、技能実習制度が廃止される。技能実習生は、育成就労生とは違い、受け入れ上限が設定されてこなかった。

出典:法務省『在留外国人統計』厚労省『分野別運用方針の主要な記載事項①』

技能実習1号2号は、育成就労と同じ3年の在留期間であり、これまでで一番多かった年は、2024年の42万7000人だった。これは育成就労生の受け入れ上限者数とほぼ同じである。

つまり、育成就労生の上限を課した今回の閣議決定は、在留期間3年のケースで、過去最多人数を想定した制度となっているのである。



まとめ

最後に、特定技能と育成就労の制度設計について、要約しよう。

  • 特定技能だけで50万人増やす余地を残している
  • 育成就労は過去最多の42万人を想定している
  • 移民労働者の増加を防ぐことができていない


育成就労生は、3年で在留資格が切れるため、顔ぶれは3年ごとに総入れ替えとなる。過去最多人数まで受け入れ可能な育成就労生、その育成就労生が特定技能に移行して増え続ける、という制度設計なのだ。

2026年1月に閣議決定された123万人政策は、その制度設計の中に、移民政策を進める政府の姿勢が現れているのである。




※1 外国人問題は、在留資格制度とは切っても切り離せない関係にある。以下、在留外国人について書いておこう。

インバウンドで来日する外国人は、旅行目的であり、滞在期間は限られている。それに対して、技能実習生や特定技能などの外国人は、長期滞在である。

滞在期間が3か月を超える外国人は、原則として、在留資格申請を行い、在留資格を取得しなければならない。提示を求められたら、在留カードを提示する義務がある。

在留カードの券面には、留学生や技能実習生などの在留資格が記載されている。日本に長期滞在している外国人は、身分証ともいえるこの在留カードを持って、全部で29種類もある在留資格に基づき、それぞれ全く異なる境遇で日本に暮らしている。

在留資格の種類の多さと、その制度設計は、外国人問題の全容を分かりにくくしている原因の1つだといえよう。しかし、在留外国人統計をみると、ほぼ全ての在留資格で大幅な増加傾向にあることが分かる。

2013年まで外国人の増加ペースは、緩やかだった。ところが、2014年以降、外国人の大幅な増加が始まっている。この2014年というのは、安倍政権が入管法を改正した年である。詳細は、以下を参照。

つまり、移民政策の端緒は、政府の制度改変によるものであり、外国人問題は、突き詰めると、制度論に行き着く。

外国人問題と聞くと、もっぱら犯罪を犯した外国人、不法移民を想起する人も多い。こうした犯罪者たちには、厳罰が下って然るべきだろう。しかし割合としては、犯罪を犯していない、合法的な外国人の方が多い。

法を犯している外国人は言うまでもなく、合法的に暮らしている膨大な外国人を生み出した法律にも目を向けるべきだろう。この法律の要は、入管法であり、移民労働者の受け入れを前提とした在留資格の、抜本的な見直しが求められているのである。



※2 2026年1月23日に閣議決定された「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針及び特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」の資料を参照している。

出入国在留管理庁
育成就労制度に係る制度の運用に関する基本方針・分野別運用方針・運用要領
HPリンク
・pdfファイル『分野別運用方針の主要な記載事項』

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