在留外国人の推移
在留外国人の数は年々、増加している。

2014年の212万人から、2024年の377万人へ、10年で165万人増加している。しかも増加のペースが、年を追うごとに加速している。
| 年 | 対前年比 増加人数 |
|---|---|
| 2015年 | +11万人 |
| 2019年 | +20万人 |
| 2024年 | +36万人 |
直近の2024年は、前年よりも36万人増加しており、過去最高のペースとなっている。このペースは、毎年のように、過去最高を更新し続けている。
在留外国人の予想人数
今後、毎年36万人増加すると仮定した場合、在留外国人の数は、前代未聞の域に達することになる。
| 年 | 予測人数 |
|---|---|
| 2025年 | 413万人 |
| 2026年 | 449万人 |
| 2027年 | 485万人 |
| 2028年 | 520万人 |
| 2033年 | 700万人 |
| 2042年 | 1024万人 |
500万人を突破するのが2028年、700万人を突破するのが2033年である。いずれもそう遠くない未来であり、前倒しになる可能性もある※1。
政府は、長期的な受け入れ者数の見込みを公表しておらず、上限の人数も定めていない。野放図に受け入れているのが、現状なのである。
転機の年:2014年
在留外国人の増加ペースは、2014年を境に、大きく転じている。

1994年から2013年までは、年平均3.5万人と緩やかに増加していた。直近の2024年に受け入れた36万人は、その10倍のペースとなっている。
増加のペースが大きく転じた2014年は、入管法が改正された年である。つまり、外国人の急激な増加は、自然の産物ではなく、制度の改正による人為的な産物なのである。
入管法改正の背景
入管法を改正した当時の安倍元総理は、その背景について、予算委員会で次のように答弁していた。
…いわば外国人労働者はどう考えるかということで御質問がございました…
…昨年12月24日の経済財政諮問会議の議論において、人口減少や将来懸念される労働力不足の問題にどのように対応すべきかについて…有識者の皆様には、よい知恵を出していただき、議論を進めていただきたい旨の発言をしたところでございます。
衆議院予算委員会 2014年2月13日
この答弁が示しているように、背景は、労働力の確保である※2。
2024年現在、在留外国人377万人のうち、60%以上が外国人労働者である。その家族も含めれば、割合はもっと多くなる。急増した外国人の実態は、外国人労働者とその関係者たちなのである。
性急な受け入れ拡大の見直しへ
最後に、在留外国人の推移と時系列をまとめてみよう。
- ~2013年緩やかに増加
年平均3.5万人の受け入れ
- 2014年激増し始める
入管法の改正
- 2024年過去最高の増加ペース
1年で36万人の受け入れ
そもそも2013年以前から、外国人の受け入れは行われていた。ペースが緩やかなだけで、自然な受け入れ方をしていたのである。それに比べて直近の2024年は、常軌を逸したペースで受け入れている※3。
外国人政策で注意を払われないのが、この受け入れペースである。外国人との共生は、外国人をいたずらに増やすことによって成り立つのではなく、受け入れペースに注意を払うことで成り立つものなのではないだろうか?
そうであれば、外国人の激増を惹き起こした改正入管法を、政府が見直すかどうかが鍵になってくるだろう。
※1 在留外国人の加速度的な増加は、どこまで続くか分からない。2024年は1年間で36万人の増加となったが、今後は1年で50万人以上増加する可能性も十分に考えられる。
※2 外国人受け入れ拡大政策は、要するに、外国人労働者の受け入れ拡大政策である。日本人労働者からすると、低賃金の外国人労働者と賃金競争を強いられることになり、賃金の下落圧力を受ける羽目になる。これは政府の賃上げ方針と矛盾している。詳細は、以下を参照。


※3 外国人政策で、もう1つ見落とされているのが、受け入れた外国人がそのまま日本に滞在して、人数が蓄積していくことである。すなわち、在留外国人の数を増やすことは容易でも、減らすことは不可能に近いのである。
将来的に外国人の問題が大きくなった時、膨大な数になった外国人との共生を模索する以外に選択肢はない。日本社会との摩擦を減らす意味でも、今のように受け入れる人数を急激に増やすのではなく、緩やかに増やしていく方が賢明だろう。
また外国人の受け入れ規制は、とかく差別やヘイトと結び付けられ、冷静な議論を中断されることが少なくない。しかし、入管法の経緯をみれば分かるように、受け入れを拡大させた改正後の入管法を、改正前の入管法に近づければよいだけである。これは差別やヘイトには当たらず、あくまで制度の議論である。
