財政赤字と対GDP比
2023年の財政赤字は、13兆3835億円、対GDP比で2.26%だった。
| 2023年 | ③=①÷② |
|---|---|
| ①財政赤字 | 13兆3835億円 |
| ②名目GDP | 591兆9125億円 |
| ③対GDP比 | 2.26% |
| ※IMF WEO 2025年4月 | |
財政赤字とは、財政収支のことである。財政収支とは、一般政府の総収入から総支出を差し引いたもので、マイナスになる国が多い。
日本の13兆円という財政赤字は、突出して多いように見えるが、諸外国と比較すると、実は少ない方に属している。
財政赤字ランキング
2023年現在、日本の財政赤字は、G7で2番目に低い水準となっている。
| ランキング | G7 | 対GDP比 |
|---|---|---|
| 1位 | カナダ | +0.07% |
| 2位 | 日本 | -2.26% |
| 3位 | ドイツ | -2.48% |
| 4位 | フランス | -5.45% |
| 5位 | イギリス | -6.05% |
| 6位 | アメリカ | -7.16% |
| 7位 | イタリア | -7.24% |
| ※IMF WEO 2025年4月 2023年の財政収支 | ||
財政赤字が最も大きかったのは、イタリアで、対GDP比7.24%だった。次いでアメリカ、イギリスと続いている。
逆に財政赤字が最も小さかったのは、カナダで、唯一の財政黒字だった。日本は、G7で2番目に財政赤字が小さい国となっている。
財政赤字の推移
2020年以降、日本の財政赤字は、G7の中でも低位に推移している。
財政赤字が小さい順に並べると、日本は3位→3位→4位→2位と推移している(2020年→2021年→2022年→2023年)。

日本の財政赤字対GDP比は、9.1%→6.1%→4.2%→2.3%と推移している(2020年~2023年)。
同じ期間、財政赤字が大きかったアメリカは、14.1%→11.4%→3.7%→7.2%と推移しており、日本を大きく上回っている。
日米の財政赤字の比較
2020年から2023年まで日本の財政赤字は、多い年だと50兆円、少ない年だと13兆円だった。
同じ期間、アメリカの財政赤字は、少ない年でも1兆ドル、多い年だと3兆ドルを超えていた。

アメリカの財政赤字を円に換算すると、1ドル100円として控えめに見積もった場合、少ない年でも100兆円、多い年だと300兆円にも上っている※1。
このように日本の財政赤字は、アメリカよりも遥かに小さいのである。
財政赤字と円安に関する誤解
財政赤字と円安について、以下のような誤解がよく散見される。

1ドル158円、円安が進みすぎている。
原因は、財政赤字だ。
この主張は、誤りである。なぜなら、アメリカの方が日本よりも財政赤字が大きいからである。
財政赤字が小さい日本は、円安。財政赤字が大きいアメリカは、ドル高。つまり「財政赤字が通貨安をもたらす」という主張は、現実には成立していないのである※3。
※1 日本よりも財政赤字が大きい国は、アメリカだけではない。例えば、イギリスは2023年、財政赤字が1641億ポンドだった。
これを円に換算すると、1ポンド140円として少なく見積もったとしても、23兆円である。日本の財政赤字13兆円に対して、イギリスの経済規模が小さいことを考慮すれば、イギリスの財政赤字の方が大きい。
同じことはフランスにも当てはまる。フランスは2023年、財政赤字が1691億ユーロだった。これを円に換算すると、1ユーロ120円として少なく見積もったとしても、20兆円である。
アメリカ、イギリス、フランス。これらの国々に比べれば、日本の財政赤字は決して大きくない。
※1-2 2022年の財政赤字対GDP比をみると、日本の4.2%は、アメリカの3.7%を上回っている。しかし、2020年と2021年および2023年は、アメリカの方が日本を大きく上回っている。
この間、アメリカの方が大幅な財政赤字を出していたということになる。つまり、アメリカ国債の発行額は、対GDP比で日本を上回っていたのであり、さらに、通貨発行額も対GDP比で日本を上回っていたのである。
※3 「財政赤字が通貨安をもたらす」という理論は、経済学には存在しない。
科学の世界では、仮説が証明されると、理論が誕生する。しかし、「財政赤字が通貨安をもたらす」という仮説は、そもそも立てることさえできない。
なぜなら、その仮説に当てはまらない事実が無数に存在しているからである。すなわち、財政赤字でも通貨高になっている国が、いくらでも確認されているからである。
本来であれば「財政赤字が通貨安をもたらす」という命題は、科学の世界では受け入れられない。しかし、こうした非科学的な言説は、枚挙に暇がないほど横行している。以下その類例として、いくつか挙げておこう。
・円安の原因は、国債の発行だ
・円安の原因は、政府支出の拡大だ
・円安の原因は、政府債務の増加にある
これらも全て誤りである。日本の政府支出の増加ペース、政府債務の増加ペースは、アメリカのみならず、G7と比べても低い水準にとどまっているからである。詳細は、以下を参照。


