消費税を減税すると、どうなるのか?
消費税を減税したら、どうなるのか?
- 消費が活発になる
- 売上が増えて、給料が上がる
- GDPが拡大し、経済が成長する
これが消費税を減税するメリットである。
このメリットは、数値化することができる。
- 消費税を減税したときのGDP
- 消費税を減税しなかったときのGDP
- 経済効果=1ー2
このメリットと経済効果について、以下の順に記したい。
- 消費税を減税するメリット
- 消費税を減税しないデメリット
- 経済効果の試算
まず「消費とGDP」の基本を確認し、消費税を減税するメリットを示す。
次に「消費は拡大していたのかどうか」をグラフで振り返り、消費税を減税しないデメリットを示す。
最後に、消費税を減税したときの経済効果を試算する。その上で、オールド・メディアが沈黙していることを明らかにしたい。
消費税を減税するメリット
まず、消費とGDPの関係を確認する。
- 家計消費はGDPの1項目である
- 家計消費はGDPの半分以上を占めている
つまり、GDPが成長するためには、家計消費の拡大が不可欠ということになる。

消費税の減税は、GDPの6割を占める家計消費を押し上げるので、最も効率的な経済政策なのである。これが「消費税を減税するメリット」である。
次に、消費は実際に拡大していたのかどうかを確認してみよう。
消費税を減税しないデメリット
正解は「消費は全く拡大しなかった」である。

1997年と2023年の家計消費を比較してみよう。
- 米国3.4倍 5.5兆ドル→18.8兆ドル
- 英国2.7倍 0.6兆ポンド→1.7兆ポンド
- 独国2.0倍 1.1兆ユーロ→2.2兆ユーロ
- 日本1.1倍 286兆円→322兆円
G7は、世界有数の経済発展国である。
そのG7でさえ、消費が2倍から3倍に増えた。
日本だけが家計消費を全く伸ばせなかった。
消費税を減税しなければ、グラフの横軸が長くなる一方だ。2025年、2026年…と日本だけ家計消費の低迷が続いていく。これが「消費税を減税しないデメリット」である。
次に、消費税を減税しなかった実際のGDPを確認してみよう。
経済効果の試算
消費税を減税しなかった結果、1997年から2023年の累計GDPは1京4400兆円に留まった。

1997年と2023年の名目GDPを比較してみよう。
- 米国3.2倍 8.6兆ドル→27.7兆ドル
- 英国2.9倍 1.0兆ポンド→2.7兆ポンド
- 独国2.1倍 2.0兆ユーロ→4.2兆ユーロ
- 日本1.1倍 544兆円→591兆円
G7の中でも経済成長率が高かったアメリカは3倍、低かったドイツでも2倍になった。日本はそれよりもさらに低く、1.1倍(年率平均0.3%)だった。
このデータを基に、消費税を減税したときの経済効果を試算してみよう。
まず日本がドイツなみに2倍、年率2.7%の低成長シナリオを辿っていたとしよう。その場合、27年間の累計GDPは6800兆円多く得られるはずだった。
| 年率平均 | 実際値0.3% | 試算値2.7% |
|---|---|---|
| 2023年 名目GDP | 591兆円 | 1087兆円 |
| 27年の累計GDP | 1京4400兆円 | 2京1200兆円 |
| 累計GDPの差 | 6800兆円 | |
次にアメリカなみに3倍、年率4.3%の成長シナリオだったとしよう。その場合、累計1京2400兆円多くなるはずだった。
| 年率平均 | 実際値0.3% | 試算値4.3% |
|---|---|---|
| 2023年 名目GDP | 591兆円 | 1630兆円 |
| 27年の累計GDP | 1京4400兆円 | 2京6800兆円 |
| 累計GDPの差 | 1京2400兆円 | |
つまり、消費税を減税していたら、経済成長率の振れ幅にもよるが、累計GDPが6800兆円から1京2400兆円※多くなっていたということになる。

これが消費税を減税したときの長期的な経済効果であり、メリットである。逆にいえば、消費税を減税しなかった逸失利益であり、デメリットなのである。
※この数字は途方もない規模なので、いささか非現実的と思われるかもしれない。しかし、試算が想定している経済成長率は、他のG7と同水準であり、世界の中でも緩やかな方だ。決して、非現実的な数字ではない。消費税を減税しなかった逸失利益が、それだけ途方もなかったということである。
まとめ
最後に、消費税を減税するメリットを推しておこう。
- 消費が増える
- モノが売れるようになる
- 売上が伸びる
- 給料が上がる
- GDPが成長する
- 1京円の経済効果が期待できる
四半世紀のスパンでみると、消費税を減税する経済効果は1京円に達するほど絶大になる。この果実を得ることの方が、生産的であり、未来志向的である。
その一方で、オールド・メディアがまくし立てる財源論は、こうだ。
食料品を減税した時の減収は5兆円。消費税を5%に減税した時の減収は15兆円。この5兆円、15兆円の財源をどうやって捻出するのかと騒ぎ立てている※。
しかし、この財源論は、減税による経済効果に比べてスケールが小さい。目先の財源論にばかりこだわって経済成長を断念するのは、生産的でもないし、未来志向的でもない。それこそ将来の世代にツケを回すことになる。
オールド・メディアの報道に釘をさしておきたいのは、彼らが語ろうとしない逸失利益なのである。


※以下の記事では、消費税を0%に減税しても問題ないことを、政府債務の観点から検証している。簡単にいうと、消費税収の減収分25兆円がそのまま政府債務に付け加わっても、なお政府債務の増加率はG7に比べて低いので、国債の増発で対応しても問題ないという趣旨である。

