外国人労働者のグラフを更新しました 7/18

G7のGDP成長率ランキング 日本は英印に抜かれ世界6位に…

時事ニュース

G7のGDP成長率ランキング

以下、G7の名目GDP成長率ランキングである。

ランキング2023年/1997年
1位アメリカ3.2倍
2位カナダ3.2倍
3位イギリス2.9倍
4位フランス2.1倍
5位ドイツ2.1倍
6位イタリア1.9倍
7位日本1.1倍
※自国通貨建ての名目GDP

対象期間は、2023年/1997年対比でみている。日本はG7で最下位となっており、他のG7と比べても全く経済成長していない。

次に、名目GDPの推移を示したグラフである。

出典:国連『National Accounts (AMA)』名目GDP 自国通貨建

アメリカの名目GDP成長率は、年率に換算すると、平均4.5%だったのに対して、日本は平均0.3%だった。

この毎年の積み重ねが複利として蓄積した結果、26年で3.2倍と1.1倍という大きな違いになったのである。



アメリカ

米国はG7で最も経済成長している国である。

米国3.2倍 8.58兆ドル→27.72兆米ドル
日本1.1倍 543兆円→590兆円

アメリカの経済規模は拡大し続けており、2024年にはカリフォルニア州が日本のGDPを上回った。

米カリフォルニア州の経済規模、日本抜いて世界4位に - BBCニュース
米カリフォルニア州は23日、2024年の州の経済規模がドル換算で日本を抜き、各国の国内総生産(GDP)と比較して世界4位になったと発表した。

2023年の名目GDP(ドル建)はアメリカが27.72兆ドル。日本が4.21兆ドル。日本の経済規模は、アメリカの約15%ほどにまで後退している。

イギリス

英国はG7で3番目に経済成長している。

英国2.9倍 0.95兆ポンド→2.72兆ポンド
日本1.1倍 543兆円→590兆円

IMFの推計によると、2025年にはイギリスが3.89兆ドルとなり、日本の4.19兆ドルに迫っている。日本はイギリスに抜かれる可能性が出てきた。

2025年、日本がもっと「後進国になる」根本理由
今年は終戦80年になる。私は2015年に、『戦後経済史』という本を東洋経済新報社から刊行した。この時は、戦後70年だった。いま改めて読み返してみると、この10年間に、世界が大きく変化したことに驚く。2015年には…

2025年に日本はインドに抜かれる見通しのため、近いうちに日本の名目GDPは、世界第6位まで順位を落とすことが予想される。

ドイツ

ドイツは2023年にドル建てで日本を上回り、世界第3位となった。

日本の名目GDP、ドイツに抜かれ4位 23年4兆2106億ドル - 日本経済新聞
2023年のドル建ての名目国内総生産(GDP)は日本がドイツに抜かれ、世界4位に後退した。内閣府が23年のGDP速報値をドル換算したところ、日本は4兆2106億ドルで、ドイツは4兆4561億ドルだった。外国為替や物価などの要因で逆転された。...

もともとドイツは日本よりも遥かに経済成長しているため、ドイツに抜かれるのは時間の問題だった。円安は、その時期を早めたにすぎない。

独国2.1倍 1.97兆ユーロ→4.18兆ユーロ
日本1.1倍 543兆円→590兆円

イタリア

イタリアのGDP成長率ランキングは、G7の中でも下から2番目である。しかしイタリアは、日本よりも遥かに経済成長している。

伊国1.9倍 1.10兆ユーロ→2.13兆ユーロ
日本1.1倍 543兆円→590兆円

1人あたりの名目GDP日本は21位 イタリアに抜かれG7最下位に:朝日新聞
内閣府は25日、物価の影響を含む2022年の名目国内総生産(GDP)が米ドル換算で4・2兆ドルだったと発表した。世界のGDPに占める割合は前年より0・9ポイント低い4・2%で、比較できる1980年以…

以上、日本のGDPについて要約しよう。

日本の名目GDPは、2024年の時点では、世界第4位の座をつけている。しかし、成長率ランキングでは世界最低水準となっている。

そのため、人口が多いインドのような発展途上国だけでなく、日本よりも人口が少ないイギリスのような先進国にまで抜かれようとしているのである。


日本が経済成長しなかった理由

なぜ、日本は経済成長しなかったのだろうか?
その理由は、簡単である。

GDPデフレーター(名目GDP÷実質GDP、いわゆる物価)を同じG7で比較してみよう。

出典:国連『National Accounts (AMA)』名目GDP 自国通貨建

名目GDPと同様、GDPデフレーターも26年間まったく伸びていない。ここから次のことが言える。

先進国の経済成長を支えているのは、物価と賃金の持続的な上昇であり、言い換えると、好調な需要である。

逆に日本が経済成長しなかった理由は、物価と賃金の長期的な低迷によるものであり、言い換えると、需要不足だったのである。


日本を経済成長させなかった犯人

それでは何故、需要不足になったのだろうか?
その理由も簡単、犯人がいるのだ。

その犯人は、政府である。
政府は、2つのトリックを使っていた。

  1. 消費税の増税
  2. 緊縮財政

以下、グラフで見れば、すぐに理解できる。

トリック① 消費税の増税

家計消費は、GDPの半分以上を占める経済の1丁目1番地である。

以下、G7の家計消費の推移を見てみよう。

出典:国連『National Accounts (AMA)』家計消費支出 自国通貨建

家計消費の伸び率は、ものの見事に、GDPの成長率と符号している。

GDPの半分以上を占める消費が伸びなかったので、日本は経済成長しなかった。当たり前といえば、当たり前の話である。

消費税10%は経済を破壊する 景気冷やす最悪の増税 | 全国商工団体連合会
安倍政権が10月から消費税を10%に引き上げることに国民・中小業者の不安と怒りの声が広がっています。「10%消費税が日本経済を破壊する」と訴えているのは昨年12月まで内閣官房参与を務めていた藤井聡・京都大学大学院教授。

政府は消費増税を繰り返し、家計消費という需要を冷まし続けていた。これが経済成長しなかった第1の理由である。

トリック② 緊縮財政

需要不足になるのは、消費税だけではない。
政府による緊縮きんしゅく財政がある。

緊縮財政とは、政府が支出額を抑制することである。
以下、G7の政府総支出額の推移を見てみよう。

出典:IMF『General government total expenditure』自国通貨建

日本政府は、G7の政府と比べて、支出額を増やそうとしていない。

政府が日本経済を破壊した…故・森永卓郎さんが指摘した、大恐慌時代に日本政府が行った“最悪な財政”
今年1月28日、経済アナリストの森永卓郎氏が死去した。原発不明がんと闘いながらも、亡くなる直前までメディアに出演し続け、世界経済の行方に多くの警鐘を鳴らしてきた。「AIバブルは崩壊する…」「日経平均はこれから大暴落する…」彼がこう語った背景...

家計消費という民需が冷え込んでいる時に、政府は緊縮財政を続け、官需も抑え込んでいた。これが経済成長しなかった第2の理由である。


まとめ

最後に、この記事を要約しよう。

  • 日本のGDPは、2024年時点で世界第4位
  • 日本のGDP成長率ランキングはG7最下位
  • まもなく英印に抜かれ、6位に転落しそう
  • 日本が経済成長しなかった理由は需要不足
  • 需要不足の解消を、政府は引き受けなかった
  • 逆に、消費増税と緊縮財政を繰り返した


需要不足の時は、需要を回復させる経済政策を行うのが、世界の常識である。しかし日本政府は、その常識に真っ向から逆らった。結果、国民が甚大な経済的被害を被っているのである。





タイトルとURLをコピーしました