G7のGDP成長率ランキング
以下、G7の名目GDP成長率ランキングである。
| ランキング | 国 | 2023年/1997年 |
|---|---|---|
| 1位 | アメリカ | 3.2倍 |
| 2位 | カナダ | 3.2倍 |
| 3位 | イギリス | 2.9倍 |
| 4位 | フランス | 2.1倍 |
| 5位 | ドイツ | 2.1倍 |
| 6位 | イタリア | 1.9倍 |
| 7位 | 日本 | 1.1倍 |
| ※自国通貨建ての名目GDP | ||
対象期間は、2023年/1997年対比でみている。日本はG7で最下位となっており、他のG7と比べても全く経済成長していない。
次に、名目GDPの推移を示したグラフである。

アメリカの名目GDP成長率は、年率に換算すると、平均4.5%だったのに対して、日本は平均0.3%だった。
この毎年の積み重ねが複利として蓄積した結果、26年で3.2倍と1.1倍という大きな違いになったのである。
アメリカ
米国はG7で最も経済成長している国である。
米国3.2倍 8.58兆ドル→27.72兆米ドル
日本1.1倍 543兆円→590兆円
アメリカの経済規模は拡大し続けており、2024年にはカリフォルニア州が日本のGDPを上回った。

2023年の名目GDP(ドル建)はアメリカが27.72兆ドル。日本が4.21兆ドル。日本の経済規模は、アメリカの約15%ほどにまで後退している。
イギリス
英国はG7で3番目に経済成長している。
英国2.9倍 0.95兆ポンド→2.72兆ポンド
日本1.1倍 543兆円→590兆円
IMFの推計によると、2025年にはイギリスが3.89兆ドルとなり、日本の4.19兆ドルに迫っている。日本はイギリスに抜かれる可能性が出てきた。

2025年に日本はインドに抜かれる見通しのため、近いうちに日本の名目GDPは、世界第6位まで順位を落とすことが予想される。
ドイツ
ドイツは2023年にドル建てで日本を上回り、世界第3位となった。

もともとドイツは日本よりも遥かに経済成長しているため、ドイツに抜かれるのは時間の問題だった。円安は、その時期を早めたにすぎない。
独国2.1倍 1.97兆ユーロ→4.18兆ユーロ
日本1.1倍 543兆円→590兆円
イタリア
イタリアのGDP成長率ランキングは、G7の中でも下から2番目である。しかしイタリアは、日本よりも遥かに経済成長している。
伊国1.9倍 1.10兆ユーロ→2.13兆ユーロ
日本1.1倍 543兆円→590兆円

以上、日本のGDPについて要約しよう。
日本の名目GDPは、2024年の時点では、世界第4位の座をつけている。しかし、成長率ランキングでは世界最低水準となっている。
そのため、人口が多いインドのような発展途上国だけでなく、日本よりも人口が少ないイギリスのような先進国にまで抜かれようとしているのである。
日本が経済成長しなかった理由
なぜ、日本は経済成長しなかったのだろうか?
その理由は、簡単である。
GDPデフレーター(名目GDP÷実質GDP、いわゆる物価)を同じG7で比較してみよう。

名目GDPと同様、GDPデフレーターも26年間まったく伸びていない。ここから次のことが言える。
先進国の経済成長を支えているのは、物価と賃金の持続的な上昇であり、言い換えると、好調な需要である。
逆に日本が経済成長しなかった理由は、物価と賃金の長期的な低迷によるものであり、言い換えると、需要不足だったのである。
日本を経済成長させなかった犯人
それでは何故、需要不足になったのだろうか?
その理由も簡単、犯人がいるのだ。
その犯人は、政府である。
政府は、2つのトリックを使っていた。
- 消費税の増税
- 緊縮財政
以下、グラフで見れば、すぐに理解できる。
トリック① 消費税の増税
家計消費は、GDPの半分以上を占める経済の1丁目1番地である。
以下、G7の家計消費の推移を見てみよう。

家計消費の伸び率は、ものの見事に、GDPの成長率と符号している。
GDPの半分以上を占める消費が伸びなかったので、日本は経済成長しなかった。当たり前といえば、当たり前の話である。

政府は消費増税を繰り返し、家計消費という需要を冷まし続けていた。これが経済成長しなかった第1の理由である。
トリック② 緊縮財政
需要不足になるのは、消費税だけではない。
政府による緊縮財政がある。
緊縮財政とは、政府が支出額を抑制することである。
以下、G7の政府総支出額の推移を見てみよう。

日本政府は、G7の政府と比べて、支出額を増やそうとしていない。
家計消費という民需が冷え込んでいる時に、政府は緊縮財政を続け、官需も抑え込んでいた。これが経済成長しなかった第2の理由である。
まとめ
最後に、この記事を要約しよう。
- 日本のGDPは、2024年時点で世界第4位
- 日本のGDP成長率ランキングはG7最下位
- まもなく英印に抜かれ、6位に転落しそう
- 日本が経済成長しなかった理由は需要不足
- 需要不足の解消を、政府は引き受けなかった
- 逆に、消費増税と緊縮財政を繰り返した
需要不足の時は、需要を回復させる経済政策を行うのが、世界の常識である。しかし日本政府は、その常識に真っ向から逆らった。結果、国民が甚大な経済的被害を被っているのである。



