理由:「財政出動」に反対するため
2023年2月の財務金融委員会で、経済と財政について議論していました。
そういう懸念を表明されていた
道下議員は、まず物価とインフレ率について議論しました。インフレ率とは、物価の年間上昇率のことをいいます。
日銀は、今年1月31日、2012年7月から12月に開いた金融政策決定会合の議事録を公開しました。
…それらを見ると、インフレ目標を2%と設定することに慎重だった当時の白川総裁は、中央銀行への信認が低下するなど、物価目標2%や大胆な金融緩和を掲げた自民党が衆議院で政権奪還したことにより、そうした中央銀行への信認が低下するという心配というか、そういう懸念を表明されていたんですけれども、こうした自民党による政権奪還により、その後の2013年1月22日の政府と日銀による共同声明に示されているように、日銀の金融政策の方向性が激変した様子がうかがえるわけであります。
第211回国会 衆議院 財務金融委員会 第2号 令和5年2月10日
道下議員は、白川元総裁の議論を取り上げ、インフレ率2%という政策目標について次のような批判を展開しました。
![日本は、先進国の中でも唯一のデフレ](https://www.fukurou.win/wp-content/uploads/2021/05/the-worst28.png)
ちなみに上のグラフは、各国の物価上昇率を比較したものです。日本は慢性的な需要不足に陥っていたため、物価上昇率は0%でした。対して外国は、年率2%で上昇していました。
私は思っております
道下議員は、インフレ率2%という政策目標を次のように批判しました。
この寄稿されたものを読むと、2012年の12月からの金融政策決定会合、そして共同声明に至る状況がやはり分かる。
…その中の一文を紹介しますと、「「共同声明」にうたわれた「持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する」という政府の取り組みが進んだとは思えない。財政規律は明らかに緩んだ。」
…「もう一つの大きな変化は、日本経済の低成長の原因は物価の下落ではなく、直面している課題は潜在成長率の低下を食い止め、生産性上昇率を引き上げることだと以前に比べると多くの人が実感を持って理解するようになったことである」というふうにおっしゃっているんですね。これは、私は、白川総裁は結果論で述べていらっしゃるとは思いません。これは、当時からこのようなお考えであったと私は思っております。
第211回国会 衆議院 財務金融委員会 第2号 令和5年2月10日
道下議員は、インフレ率2%という物価目標のせいで、財政出動が過大になっている、と主張しました。
![日本は、世界最大級の緊縮(きんしゅく)財政](https://www.fukurou.win/wp-content/uploads/2021/05/the-worst29.png)
上のグラフは、各国の政府支出の伸び方を示したものです。道下議員のこうした議論によって、日本は世界最低水準の伸び率になりました。
財政規律が狂っていると思います
さらに、国債について議論しました。国債とは、税収だけでは予算に届かないため、政府が資金調達するために発行する債券をいいます。
財政規律が緩んだとは思っていないということ(答弁)なんですけれども、びっくりですね。ここまで緩み切っているというか、もう、これは、ほかの専門家が、多くの専門家が聞いたらびっくりするような、今までも答弁されていますので、聞き慣れてしまっている我々が、ある意味でちょっと麻痺してしまっているかもしれませんが、そうではないと思います。
私は、白川元総裁がおっしゃるように、財政規律が狂っていると思いますし、ましてや、一つは、2013年の共同声明では、物価上昇2%、これは何年と規定していないんですね。
第211回国会 衆議院 財務金融委員会 第2号 令和5年2月10日
道下議員は、国債を過剰に発行しているせいで財政規律が狂っている、と主張しました。
![国債の金利と長期債務残高の推移](https://www.fukurou.win/wp-content/uploads/2021/03/long-term-debt28.png)
上のグラフは、長期債務残高と国債の金利を示したものです。国債は超低金利の状態にあるため、国債を発行しても何ら支障ありませんでした。
方向転換ができなかったのではないでしょうか
再度、インフレ率2%という政策目標について次のように批判しました
これは、実は黒田総裁になってから、2%を2年間でということを掲げた。それが全然達成されていない。達成されなかったのがこんなに何年も続いて、なぜ方向性を転換するとかしなかったのか。
実は、この2013年の共同声明では、4番目、ここでは、「経済財政諮問会議は、金融政策を含むマクロ経済政策運営の状況、その下での物価安定の目標に照らした物価の現状と今後の見通し、雇用情勢を含む経済・財政状況、経済構造改革の取組状況などについて、定期的に検証を行うものとする。」としているんですね。しかしながら、実際は、この経済財政諮問会議、総理が議長を務めていますが、きちんとした検証を行ってこなかったから現在のようにだらだらだらだら続けていって、検証して、じゃ、ここが違うから変えていきましょうという方針転換ができなかったのではないでしょうか。
第211回国会 衆議院 財務金融委員会 第2号 令和5年2月10日
道下議員は、インフレ率2%という政策目標を取り下げるべきだ、と主張しました。
![](https://www.fukurou.win/wp-content/uploads/2021/04/cpi28.png)
上のグラフは、1998年の物価=1としたときの、日本と世界40か国の物価上昇率を示したものです。日本の物価は1998年から全く伸びませんでした。道下議員の議論は、従来の緊縮財政を続けてインフレ率を0%のまま放置する、ということを意味していました。
議論の内容に基づき「以外に投票する」議員に分類しました。
2021年衆院選の得票率
得票率45.3%で当選しました。
(有効投票数260,923票 投票率59.13%)
当選者と次点 | 得票率 |
---|---|
道下 大樹 | 45.3% (118,286票) |
船橋 利実 (落選) | 41.0% (106,985票) |
※衆議院インターネット審議中継及び総務省選挙関連資料 参照
本記事に掲載されている経済のグラフ