50年のスパンでみた物価
1973年から2023年までの50年間を、ちょうど真ん中の1998年で区切ると、物価の上昇が続いていたのは1998年までで、それ以降は伸び悩むようになった。
世界40ヵ国の物価 1978~2022
上のグラフは、1998年の物価=1としたときの、日本と世界40ヵ国の物価の推移を示したものである。ここでいう世界40ヵ国とは、世界の主要な国を網羅した以下の国々である。
ヨーロッパ17ヵ国:イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、ポーランド、オーストリア、オランダ、デンマーク、ベルギー、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、アイルランド、アイスランド
北米南米9ヵ国:アメリカ、カナダ、メキシコ、チリ、コロンビア、パラグアイ、ウルグアイ、ペルー、ジャマイカ
アジア8ヶ国:韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド、インドネシア、マレーシア、タイ、シンガポール
中東アフリカ6か国:サウジアラビア、南アフリカ、イラン、エジプト、イスラエル、ナイジェリア
これら40ヵ国は物価の上昇が毎年起きているが、日本だけ1998年を境に伸び悩むようになっている。
アメリカの物価 1974~2024
アメリカの物価は1974年から50年間、ほぼ一貫して上昇し続けている。物価が下がったのは、2008年のリーマンショックのような不況が起きた時だけである。
イギリスの物価 1973~2023
イギリスの物価も1973年から50年間、ほぼ一貫して上昇し続けている。このように物価は毎年上がることが基本で、逆に1年の間でも下がったり、伸び悩んでいたりすれば、それは異常事態と見なすことができる。
日本の物価が歴史的に見ると異常な理由:超長期の歴史で俯瞰すると伸びていないため
もし日本が外国と同じように物価を伸ばしていたのなら、青線のように推移しているはずだった。これが本来あるべき正常な物価の推移である。それだけ日本のデフレが異常だったということになる。
世界の主要国における物価と賃金の持続的な上昇は、好調な需要によってもたらされている。
日本の物価が伸び悩んでいるのは、慢性的な需要不足に陥っているからである。この需要を温める方法が、減税と財政出動だ。しかし、日本は本来やるべき経済政策とは真逆の消費増税と緊縮財政を繰り返してきたため、物価だけでなく、GDP、平均年収、家計消費が世界最低水準の伸び率になった。