理由:「外国人労働者の受け入れ」と「自由貿易」を推進するため
改正入管法を成立させた法務大臣です。2016年10月のTPP特別委員会で、貿易について議論していました。
この状況をどうすべきかというのが…問われておる
山下議員は、TPPについて議論しました。TPPとは、太平洋に面する12ヵ国(アメリカ、カナダ、マレーシア等)との貿易協定をいいます。
このTPPに関して、最後に日本の農業につきまして申し上げますと、2013年、これはFAOの統計でございますが、日本の農業生産額は第9位なんです。
…ところが、日本の農産物や食品の輸出額は、何と71位なんです。TPP参加国中、農産物、食品の輸出額は、何と11位、ブルネイの上なんです。この状況をどうすべきかというのが私はTPPの審議についても問われておると思いますし、また、それに関して、ISDS手続、あるいは著作権や知的財産権についてもしっかり担保されている…
第192回国会 衆議院 環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会 平成28年10月31日
山下議員は、高い農業生産力を輸出に十分振り向けることができていないため、TPPで輸出を増やすべきだ、と主張しました。

上のグラフは、TPPに加盟しなかった場合と、加盟した場合の政府試算を比較したものです。政府の試算は、赤字の純輸出に内需増加分をふかすことで、GDPの押し上げ効果を水増ししていました。
そういったことでISDS条項が置かれている
次に、ISDSについて議論しました。
[山下議員の質問]
なぜ国際投資協定においてISDS条項が置かれるのか。ISDS条項がなければ、投資をめぐる紛争が起きたとき、例えば日本側が投資をしたとき、権利救済のため、投資家はどうすることを迫られるのでしょうか。[(答弁を受けた)山下議員の回答]
ISDS条項がないと、結局、投資家側は権利救済を求めるために現地の裁判所に行かなきゃいけないわけです。その現地の裁判所の裁判官が必ずしも国際法の知識があるかどうかはわからない、地裁、高裁が全員が持っているかどうかわからないわけですね。そして、国によっては、例えば陪審とかそういうこともある。公正な判断がされるかどうかというのは、外国の投資家からすれば非常に不安がある。そういったことでISDS条項が置かれているわけでございます。
第192回国会 衆議院 環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会 平成28年10月31日
山下議員は、外国人投資家の利益が日本国内の法律よりも優先されるため、ISDS条項の意義は大きい、と主張しました。
どこの国で働こうか…そういうのを見る。賃金もそうかもしれません
2018年11月の本会議で、賃金について議論しました。
まず、今、グローバル社会の中で、さまざまな分野で人手不足が、日本のみならず、いろいろなところで生じているという現状がございます。
そうした中で、外国の方がどこの国で働こうかというところで、さまざまな労働における条件、そういうのを見る。賃金もそうかもしれません。あるいは、労働法制もそうかもしれない。あるいは、生活において安心、安全で暮らせるということもそうかもしれません。多文化共生社会を実現しているかどうか、そういったことも含まれると思います。
第197回国会 衆議院 法務委員会 第2号 平成30年11月13日
山下議員は、外国人労働者が日本で働きたい理由は、日本の賃金水準が母国より高いからである、と主張しました。

上のグラフは、日本と海外9ヵ国の平均年収を比較したものです。日本の平均年収は、世界最低水準の伸び率でした。日本は外国に追い抜かれ続けているため、外国人労働者が日本を敬遠するのも時間の問題でした。
低賃金という者が67.2%
2018年11月の法務委員会で、失踪した技能実習生について議論しました。技能実習生とは、技能を学びに来日する外国人労働者をいいます。
調査では、主な失踪の動機としては、現状の賃金等への不満からより高い賃金を求めて失踪する者…低賃金という者が67.2%、そして、実習終了後も稼働したいとする者が17.8%…ということが正しい数字でございます。
…失踪の原因につきましては、低賃金、それには契約賃金以下や最低賃金以下も含まれます、これに不満を持ち、より高い賃金を求めて失踪する者が三分の二を超え、最も多いということでございます。
第197回国会 衆議院 法務委員会 第5号 平成30年11月21日 幾つかの答弁を抜粋
山下議員は、技能実習生が失踪する理由の多くが、超低賃金にあることを把握していました。

上のグラフは、労働者全体と技能実習生を含めた在留資格別の賃金を比較したものです。技能実習生の賃金は、所得税控除前で17万にも満たない水準でした。山下議員は、こうした実態を把握した上で法案を押し進めました。
そのボトルネックになっている
2018年11月の法務委員会で、外国人労働者について議論しました。
まず、昨今の人手不足状況、これがもう極めて深刻だということでございまして、産業上の分野によってはその維持が難しく、また…アベノミクスの進展によって景気回復の道筋にあるわけでございますけれども、そのボトルネックになっている…
そして、今、有効求人倍率が44年ぶりの高さとなる一方で、少子高齢化により、労働力となり得る生産年齢人口は毎年減少し、ことし初めて6割を切っているんです。そうした喫緊の人手不足状況の中で、我々政府としては、この課題に迅速に対応するために、来年4月から制度をスタートさせたいというふうに考えているものでございます。
第197回国会 衆議院 法務委員会 第8号 平成30年11月27日
山下議員は、人手が不足しているため、外国人労働者を一刻も早く受け入れる必要がある、と主張しました。

上のグラフは、外国人労働者の推移を示したものです。2017~19年までの間、毎年約20万人ずつ増加しました。そのペースが今後続いた場合、7年後には300万人を突破します。
議論の内容に基づき「以外に投票する」議員に分類しました。
2021年衆院選の得票率
得票率56.4%で当選しました。
(有効投票数143,458票 投票率50.42%)
当選者と次点 | 得票率 |
---|---|
山下 隆司 | 56.4% (80,903票) |
津村 啓介 (落選) | 43.6% (62,555票) |
※衆議院インターネット審議中継及び総務省選挙関連資料 参照
本記事に掲載されている経済のグラフ