輸出と輸入の額は、ほぼ同じ
輸出と輸入の額は、ほぼ同じように増減している。輸出から輸入を差し引いた純輸出は、ほぼ0。
貿易協定は、GDPの拡大につながらない
GDPを構成する項目のうち、内需と輸出は+、輸入は-になる。貿易協定に加盟すると、輸出額が増える。しかし、輸入額も同じように増えるため、結局、GDPを押し上げない。
TPP加盟によるGDP押し上げ効果
政府は、TPPに加盟すべきか否かを検討するために、GDPの押し上げ効果を試算した。左の棒グラフが2014年度の実質GDPの実績値、右の棒グラフがTPPに加盟した場合の実質GDPの予想値を示している。そもそも政府は、TPPに加盟した場合の純輸出を赤字と試算していた。
TPP11加盟によるGDP押し上げ効果
TPP11(TPP加盟12ヵ国からアメリカが離脱した)も純輸出は赤字と試算されていた。TPP11に加盟しても外需は減るという試算になっていたため、政府は内需が拡大するという屁理屈を持ち出した。
日EU経済連携協定(EPA)加盟によるGDP押し上げ効果
日EU EPAも純輸出は赤字と試算されていた。外需が減るような貿易協定では、加盟するメリットがないため、内需で水増しすることでGDP押し上げ効果を偽装していた。
日米貿易協定 加盟によるGDP押し上げ効果
日米貿易協定の場合も、純輸出は赤字と試算されていた。試算の基本的な特徴は、貿易協定によるGDP押し上げ効果が内需拡大分と等しいという点にある。
RCEP 加盟によるGDP押し上げ効果
一連の貿易協定と同じ手口で、RCEPも赤字と試算された。全ての貿易協定において、純輸出は赤字だった。本来、純輸出で判断すべきにも関わらず、政府は内需で水増しすることで根拠を取り繕っていた。
内需を水増しすることで、外需があたかも増えるかのように錯覚させる
一連の貿易協定は、内需増加分をふかすことで、GDPの押し上げ効果を水増しした点で共通している。「~貿易による経済効果~兆円」とよく報道されているが、その大半が内需で水増しした部分になる。
内需拡大は、財政出動によって実現する
GDPの大半を占める内需の主体は、民間と官で構成されている。政府が財政を拡大させると、②公的需要が増加する。ゆえに貿易試算で期待していた内需拡大を、貿易を経ずに実現させることができる(ただし、貿易を0にすべき、という極論ではない)。