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【グラフ編】現実:日本銀行がお金を刷るだけでは効果が薄い / 理由:国民がそのお金を受け取れるとは限らないため

財政
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硬貨と紙幣の発行額

参照:日本銀行『マネタリー・ベース平均残高』

2004年から2024年までの発行額をみると、硬貨は4兆円から5兆円、紙幣は70兆円から120兆円で推移している。紙幣は硬貨よりもずっと多く発行されている。

第3のお金『日銀当座預金』

参照:日本銀行『マネタリー・ベース平均残高』

日本銀行は、紙幣以外にも『日銀当座預金』というお金を発行している。日銀当座預金とは、電子データのお金で実体をもたない。『お金を刷る』という表現を聞くと、紙幣だけを連想しがちだが、実際には3種類のお金が発行されている。

2013年3月時点での発行額

参照:日本銀行『マネタリー・ベース平均残高』
日銀当座預金のみ2013年3月までのデータ

上のグラフは、3種類のお金の発行額を示している。2013年3月時点での発行額は135兆円。そのうち日銀当座預金は47兆円とまだそれほど多くなかった。翌4月から日銀は、国債を大量に購入する目的でお金の発行額を増やし始めた。

2024年3月時点の発行額

硬貨、紙幣、日銀当座預金の発行額
参照:日本銀行『マネタリー・ベース平均残高』

2024年3月時点での発行額は660兆円。2013年3月の約5倍になった。日銀が国債の購入資金としてお金の発行額を増やした狙いは、その購入代金を民間の金融機関に行き渡らせることで、最終的にそのお金を国民が受け取ることにあった。

日銀の貨幣発行額と国民の貨幣受領額

参照:日本銀行『マネタリー・ベース平均残高』 出典:厚労省『毎月勤労統計』
※きまって支給する給与(所定外労働給与を含む)全就業形態で事業規模5人以上の指数値

上のグラフは、賞与を含まない残業代込みの給与と、日銀が発行したお金の伸び率を比較している。2013年4月時点での給与と貨幣発行額=1とすると、日銀が発行したお金は5倍近くに増えたのに対して、国民が給与として受け取るお金は全く増えなかった。

日銀がお金を刷るだけでは効果が薄い理由:国民がお金を受け取るとは限らないため

これまで記述してきた日銀の政策を『金融緩和』という。前掲のグラフでも明らかなように、日銀が金融緩和を通じてお金の発行額を増やしても、国民が給料として受け取るお金は増えなかった。日銀の狙い通りには行かなかったのである。

それに対して、政府が民間企業に仕事を依頼する『財政出動』の場合、金融緩和とは違い、お金を受け取る主体が確定する。その主体から第三者が間接的にお金を受け取ることで、お金が人手を伝って循環するようになる。

そのため、政府による財政出動を通じて日銀がお金の発行額を増やせば、国民が受けとるお金を増やすことができる。しかし、日本の財政出動の伸び率は世界最低水準、すなわち、政府は十分な財政出動を行ってこなかったため、GDP平均年収家計消費が全て世界最低水準の伸び率になった。

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