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【グラフ編】現実:日本の金利は世界最低水準 / 理由:資金需要が冷え込んでいるため

物価・金利
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景気の見通しと資金需要の関係

景気の見通しが明るい時、個人や法人はお金をさらに借りようとするため、資金需要が活発になる。

逆に景気の見通しが悪くなると、お金を借りるよりも、抱えている借金を返済しようとするため、資金需要は低調になる。

資金需要の加熱効果・抑制効果をもつ政策金利

日銀が金利を上げると、民間の金融機関も融資金利を引き上げる。すると、個人や法人の返済負担が重くなるため、資金需要は冷え込む。

逆に日銀が金利を下げると、資金需要は過熱する。つまり、政策金利には資金需要を刺激したり、抑制したりする効果がある。

日銀と市中銀行の金利の連動

出典:日本銀行 『基準割引率および基準貸付利率、無担保コールレート、新規の貸出約定金利』参照
※無担保CLは月平均 ※都市銀行は、みずほ、三菱UFJ、三井住友、りそな、埼玉りそな

日銀の金利と市中銀行の金利は、連動している。この30年を振り返ると、日銀が金利を下げた後に、市中銀行もそれに追従して融資金利を引き下げてきた。

日本の政策金利

日銀は金利を上げて資金需要をこれ以上冷ます訳にはいかなかった
出典:BIS『Central bank policy rates』参照

日銀は、金融政策決定会合という定例の会議を開き、そこで立てた景気の見通しに基づき、金利の水準を決定している。特に1995年以降、日銀は景気の見通しが悪い、すなわち資金需要が冷え込んでいる、と判断し続けてきた。

アジア・オセアニア7ヵ国の政策金利

日本の金利の低さが際立っている
出典:BIS『Central bank policy rates』参照

オーストラリアと韓国の政策金利は、それぞれ4.35%、3.5%で推移している(23年12月現在)。0%の底に張り付いている日本の金利水準は、日本の資金需要が不調であることを示している。

アメリカとカナダの政策金利

リーマン・ショックやコロナ以後、アメリカとカナダは金利を引き上げている
出典:BIS『Central bank policy rates』参照

アメリカとカナダの政策金利は、それぞれ5.375%、5.0%で推移している(24年1月現在)。

ユーロとヨーロッパ3ヵ国の政策金利

27年以上、金利を上げることができない日本
出典:BIS『Central bank policy rates』参照

ユーロとイギリスの政策金利は、それぞれ4.5%、5.25%で推移している(24年1月現在)。日本が0金利を推移している28年という期間は、ヨーロッパの先進国と比べても突出して長い。

日本の金利は、世界最低水準

日本の0金利が続いている27年という期間の異常さ
出典:BIS『Central bank policy rates』参照

海外の中央銀行は、その都度、景気の見通しが明るいと判断すれば、金利を引き上げてきた。対して日本の中央銀行は、28年間でそうした見通しをつけることが1度もできなかったため、金利を上げることができなかった。

日本の金利が低迷している理由:資金需要が不調だったため

海外の先進国は、先々の需要を見込むことができたため、資金需要が好調な景気環境を過ごしている。

逆に日本は、先々の需要を見込むことができなかったため、資金需要が絶不調な景気環境を30年近く過ごしている






※2024年3月19日、日銀はマイナス金利の解除を決定した。しかし、実質賃金が22か月連続で下落しているこのタイミングで、好景気を裏づけるような判断材料はなかった。景気が悪い時に金利が少しでも上がると、企業融資、住宅ローンなど、さまざまな資金需要を冷ますことになり、このマイナス金利の解除によって、日本経済の冷え込みが加速することになった。

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