景気の見通しと資金需要の関係
景気の見通しが明るい時、個人や法人はお金をさらに借りようとするため、資金需要が活発になる。

逆に景気の見通しが悪くなると、お金を借りるよりも、抱えている借金を返済しようとする。
資金需要の加熱効果・抑制効果をもつ政策金利
日銀が金利を上げると、それに追従して民間の金融機関も貸出金利を引き上げる。すると、個人や法人の返済負担が重くなるため、資金需要は冷え込む。

逆に日銀が金利を下げると、資金需要は過熱する。そのため、政策金利には資金需要を刺激したり、抑制したりする効果がある。
市中銀行の貸出金利
1995年、日銀は金利を0.5%に引き下げ、それに追随して都市銀行も貸出金利を引き下げた。

※無担保CLは月平均 ※都市銀行は、みずほ、三菱UFJ、三井住友、りそな、埼玉りそな
市中銀行は、1995年以降も貸出金利を下げて融資を拡大させようとしたが、肝心の法人向け融資は伸び悩んでいる。
日本の政策金利

日銀の0金利政策は、27年以上続いている。資金需要が絶不調なため、日銀は金利を引き上げる訳にはいかなかった。
アジア・オセアニア7ヵ国の政策金利

韓国とニュージーランドの政策金利は、コロナ禍によって0%代を付けていたが、それぞれ1.75%、2%で推移している(22年6月現在)。
アメリカ大陸 3ヵ国の政策金利

アメリカとカナダの政策金利は、コロナ禍によって0%代に落ち込んだが、それぞれ1.625%、1.5%で推移している(22年6月現在)。
ユーロとヨーロッパ3ヵ国の政策金利

イギリスの政策金利は、1.25%で推移している(22年6月現在)。日本が0金利を推移している27年という期間は、ヨーロッパの先進国と比べても突出して長い。
日本の金利は、世界最低水準

海外の先進国は、リーマン・ショックやコロナのような不況が訪れても、金利を下げる余地を残しているため、政策金利を部分的な防波堤として活用している。
それに対して日本は、金利を下げる余地を残していないため、ショック波をもろに受けてしまう。
日本の金利が低迷している理由:資金需要が不調だったため
海外の先進国では、需要を見込むことができたため、お金を借りてでも消費や投資をしようとする人が多かった。

逆に日本では、需要を見込むことができなかったため、お金を積極的に借りようとする人は少なかった。