経済のメイン・エンジンである消費

上のグラフは、家計消費のGDPに占める割合を国別で比較したもの(1997~2024年の平均値)。
アメリカが67%、イギリスが63%、ドイツとフランスが54%、日本が55%。家計消費はGDPの半分以上を占めており、経済を動かすメイン・エンジンとなっている。
家計消費の伸び率

家計最終消費支出は、1997年が286兆円、2024年が332兆円だった。
1997年の家計消費=1とすると、2024年は1.16倍となり、消費が全く伸びなかった※1。以下、2024/1997年比の伸び率を国際比較する。
アジア・オセアニア 9ヵ国の家計消費伸び率

アジアの2024年/97年比でみると、中国は14.7倍、マレーシアが9.2倍、オーストラリアと韓国は4.1倍、ニュージーランドは4.0倍。
日本の1.16倍という伸び率は、アジアの中でも突出して低い数値となっている。
ヨーロッパ 8ヵ国の家計消費伸び率

北米・南米の2024年/97年比でみると、ブラジルは12.1倍、チリは8.3倍、アメリカは3.6倍、カナダは3.4倍。
もし日本がアメリカと同じように経済成長していた場合、2024年の時点で家計消費が1000兆円を突破しているはずだった。しかし、消費増税と緊縮財政がそれを台無しにした。
アメリカ大陸 4ヵ国の家計消費伸び率

欧州の2024年/97年比でみると、スウェーデンが2.9倍、イギリスが2.8倍、ポルトガルが2.7倍、フランスが2.3倍、ドイツが2.1倍。
欧州の先進国は、人口の増加率が数%程度しかないが、それでも内需の要である消費は2倍から3倍のペースで拡大している※2。
G7の家計消費伸び率

G7の2024年/97年比でみると、アメリカは3.6倍、カナダは3.4倍、イギリスは2.8倍、フランスは2.3倍、ドイツは2.1倍、イタリアは2.0倍。
このように日本の家計消費は、どの先進国と比べても全く伸びておらず、経済成長できなかった主因となっている※3。
日本の家計消費が低迷している理由:政府が消費の低迷を顧みずに消費税を上げ続けたため

経済政策としての消費税は、消費が過熱している時は増税、低迷している時は減税、というのが基本的な考え方である。
そのため、消費税率を変更する時は、消費が過熱しているのか低迷しているのか、を正しく認識する必要がある。

前掲のグラフでも明らかなように、日本の家計消費は低迷していた。
しかし、政府はこの消費の低迷を顧みることなく、本来やるべき政策とは真逆の増税を繰り返したことで、日本はGDP、物価、平均年収が世界最低水準の伸び率になった。
※1 日本が経済成長できなかった理由は、家計消費が伸びなかったからである。そのことは統計にも表れている。
以下、G7の家計消費と名目GDPについて、2024/1997年対比の伸び率を見てみよう。
| 2024/1997年 | 家計消費 | 名目GDP |
|---|---|---|
| カナダ | 3.35 | 3.43 |
| アメリカ | 3.59 | 3.42 |
| イギリス | 2.81 | 3.01 |
| フランス | 2.29 | 2.26 |
| ドイツ | 2.06 | 2.19 |
| イタリア | 1.96 | 2.01 |
| 日本 | 1.16 | 1.12 |
このように家計消費を伸ばした国ほど、GDPが増えていることを示している。
経済成長をするためには、消費の拡大が不可欠となり、そのために必要なのが、消費税の減税である。名目GDPの伸び率については、以下を参照。
※2 欧州の先進国の人口増加率は、非常に低い。それでも内需や消費は倍増している。このことは以下の主張を反証している。
- 日本は人口が減るので、内需の拡大は期待できない
例えば、ポーランドやハンガリー、バルト3国など、人口が減っている国をみても、家計最終は3倍以上に増加している。
「人口が減ると、内需の拡大は期待できない」という俗説は、かなり影響力を持っており、未だにそれを信じる人も多いが、統計はそれを反証している。詳細は、以下を参照。
※3 「日本は人口が減るので、内需の拡大は期待できない」という俗説は、単なる悲観論にとどまらず、政策にも大きな影響を与えてきた。
その代表的な政策が、2010年台に論争になっていた、TPPなどの自由貿易政策、いわゆるグローバリズム政策である。
当時、よく持ち出されていたのが「日本は人口が減り、内需が縮小するので、外に打って出なければならない」といったレトリックである。これは俗説が単なる俗説の域を出て、政策を推進するための有害な根拠を与えていた事例である。
そもそも日本は内需の割合が高い国であり、日本の外需依存度は、世界的にみても極めて低い。
繰り返しになるが、日本も内需を拡大させることができる。「日本は内需を拡大できない」と悲観してしまうのは、経済成長の術を知らない時だけである。



